今週のJC:Characterization of preoperative cardiovascular status and association with outcome・・・

今週のJCは猫の腎臓移植に関する報告です。

腎不全の猫への腎臓移植はQOLの向上、生存期間を伸ばす可能性があるとされています。人の腎臓移植では心血管疾患が腎臓移植前後の死亡率の主な原因になっています。そのため術前、術後の心血管疾患の発生の低下が重要となっています。一方、猫では腎臓移植前後の心血管疾患についてあまり調査されていません。そこでこの論文では術前の心血管疾患が腎臓移植後にどの様な影響を及ぼすかを後ろ向きに研究しています。1998年から2018年の間に腎臓移植をされた166匹の猫を調査したところ、術前の心血管疾患は腎臓移植後の生存期間に大きな影響を及ぼさなかったとのこと。術前もしくは術後に高血圧と診断された猫や術前にうっ血性心不全と診断された猫がいましたが、ともに心血管疾患のない猫との生存期間に差がなかったとのことです。

また人では貧血が心血管疾患を誘発し死亡率に影響するとされています。今回の研究では81%の猫が貧血により術前に1回以上の輸血を受けましたが、生存期間に影響を及ぼさなかったとのことです。

猫の腎臓移植は行なっている施設が少ないのでまだわかっていないことが多く残っています。今後猫の腎移植の研究が進んで行くことを望んでいます。

帝京大学医学部 移植免疫・腫瘍免疫研究室

夢と希望をもって誰でも(出身・経歴を問わず)斬新な研究ができるよう、この研究室の俗称を“どらえもんラボ”と名付けました。実験をしたい、そして新しいことを発見したいという夢がありながら、なかなかその場が見つからない、そのような方は是非“どらえもんラボ”にお立ち寄りください。そして、実験や討論を一緒にやりましょう。

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