今週のJC:Systematic review of mouse kidney transplantation

当研究室では現在マウス腎臓移植モデルの確立を目指しています。今回紹介する論文は少し古いですが、マウスの腎臓移植モデルについてまとめた論文です。

マウスの腎臓移植モデルは1973年に開発されています。この論文では2013年1月までに発表されているマウス腎臓移植モデルを用いた論文を調べ、マウスの種類や手術方法、移植片の生着期間、細胞性免疫と液性免疫による拒絶反応、免疫寛容等についてまとめています。移植片の生着期間はマウスの組み合わせによっては拒絶反応が起こりにくくなり、DBA/2マウスとC57/BL6マウスの組み合わせでは80%で生着延長が見られるとの報告もあるそうです(心臓や皮膚の移植では同じマウスの組み合わせで生着延長は見られない)。

拒絶反応は急性、慢性拒絶反応どちらも起こり、急性拒絶反応は手術3日目には腎臓内への炎症細胞が浸潤することで確認できるとのことです。慢性拒絶反応は補体系のC3dやC4dの尿細管周囲毛細血管などへの沈着で確認できるとのことです。また移植腎内に制御性T細胞が多く浸潤していると移植片が生着しやすくなるとのことです。

マウスの腎臓移植の手技は難しいとされていますが、多くの点で人の腎臓移植へ結びつけられるとされています。今後は当研究室でマウス腎臓移植モデルを確立し人の腎臓移植の成績向上に貢献できるよう努力してまいります。

帝京大学医学部 移植免疫・腫瘍免疫研究室

夢と希望をもって誰でも(出身・経歴を問わず)斬新な研究ができるよう、この研究室の俗称を“どらえもんラボ”と名付けました。実験をしたい、そして新しいことを発見したいという夢がありながら、なかなかその場が見つからない、そのような方は是非“どらえもんラボ”にお立ち寄りください。そして、実験や討論を一緒にやりましょう。

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