今週のJC:Saireito (TJ-114) suppressed donor-specific antibodies through immunomodulatory effects and・・・
今週のJCは先日当研究室で論文報告を行なったものになります。臓器移植を行なった後、移植した臓器が機能不全になってしまう一因として移植した臓器に対する抗体(ドナー特異的抗体)が挙げられています。このドナー特異的抗体の産生をコントロールできれば臓器移植患者の生存率を改善することができるため、様々な研究が行われています。今回は漢方薬の柴苓湯に着目して実験を行っています。心臓移植を行ったマウスに柴苓湯を飲ませるとドナー特異的抗体の産生が減少し、ドナー特異的抗体の産生を抑制すると言われている制御性T細胞が増加していました。この制御性T細胞に着目しさらに実験を行い、柴苓湯を飲みきってからしばらく日数が経った後に制御性T細胞を除去する抗体を投与すると、抗体投与前と比べてドナー特異的抗体の産生が増加していました。一方、柴苓湯を飲んでいる期間に制御性T細胞を除去する抗体を投与してもドナー特異的抗体の産生は増加しませんでした。よって、柴苓湯は柴苓湯により誘導された制御性T細胞もしくは直接的な作用によりドナー特異的抗体の産生を抑制がするのではないかと考えられます。今回の実験では術後短期間のドナー特異的抗体の産生抑制しか確認していませんが、柴苓湯が術後長期間ドナー特異的抗体を抑制できるのであれば、今後の新たな治療法として使用されることが期待されます。
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