今週のJC:Community transmission and viral load kinetics of the SARS-CoV-2 delta (B.1.617.2) variant in
今回のJCではコロナウイルスのデルタ変異株に関しての記事を書かせていただきました。良く耳にする情報として、デルタ株はワクチン接種の効果が低く、接種してもデルタ株は感染を起こすという内容があると思います。今回の論文ではワクチン接種者と非接種者で、デルタ株の感染率に差があるかということ、特に家庭内感染による二次発病率(SAR)をコホート研究にて調べています。結果としては、ワクチン接種者の家庭内でのSARは25%(18〜33)、非接種者のSARは38%(24〜53)ということで、有意な差はなかったということでした。この陽性者は陰性者と比較して、ワクチン接種から長い期間が経過しているということでした。(101日(74〜120)vs 64日(32〜97))、そしてウイルスの減少速度についてはワクチン接種者で有意に早かったということです。
今回の結果を見て自分が考えたことは、ワクチンを打っても感染はするが、やはり重症化は防ぐという、今回のワクチンの特性通りの結果なのかなと思いました。一つ気になったのはワクチン接種者のうち14名はBNT162b2 mRNAワクチン(Pfizer-BioNTech社)、23名はChAdOx1 nCoV-19アデノウイルスベクターワクチン(Oxford-AstraZeneca社)、1名は不活化全ウイルスワクチン(Sinovac社)、ということでワクチンの種類にはばらつきがあるということかと思います。また100日くらい経過すると抗体が減少した結果として感染リスクが上がるのか、その点が気になるところかと思います。
ワクチン接種を初期から実施していたイギリスでのデータになりますが、今後の日本がどうなっていくか、第6波はどうなるのか、気になるところです。ワクチン接種から100日というとちょうど年末年始に差し掛かる頃になるので、現在の制限解除の風潮と合わせると少し心配になります。
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