今週のJC:Feline Infectious Peritonitis Update on Pathogenesis, Diagnostics, and Treatment
今回のJCでお話しさせていただく論文は、猫のコロナウイルス感染症である猫伝染性腹膜炎(FIP)に関してです。今回新型コロナウイルスに自分自身が感染するという経験をしました関係で、今回はコロナウイルス関連の論文にさせてもらいました。新型コロナウイルスの発生初期に自分が思ったことは、猫の伝染性腹膜炎とどことなく似ているなということでした。同じコロナウイルス属だからということがありますが、通常の猫のコロナウイルスは下痢を起こす程度の症状が軽いものですが、変異を起こしFIPとなると突然命を奪う確率が100%に近い凶悪なウイルスに変異するという事が、変異を起こしどんどん型を変える新型コロナウイルスと似ているなと感じた点です。今回の論文ではさらに興味深いことに、FIP治療に関してGS 441524という治療薬に関してが記載されており、これがアデノシンヌクレオシドのプロドラッグという事で、まさに今新型コロナウイルス治療薬として使用され始めているレムデシビルと同じ薬だったという点です。
FIPの治療薬で人間の方での開発途中の技術が横流しされ、中国の会社にて闇市場(まさに論文上でこの表現がされております)で流通したと記載されており、実際当院ではもちろん使用したことはないですが、通院されている患者さんで使用し一命を取り留めた症例を見たことがあります。開発と横流しという非常にブラックな内容が書いてあり、動物業界でもなかなか怖い部分があるのだなと感じます。ただ猫の命を救っている部分はあるのは確かであり、色々と考えさせられる内容でした。
0コメント