今週のJC:Phase 3 Trial of Interleukin-1 Trap Rilonacept in Recurrent Pericarditis
今週のJCはコロナとは関係ないものを。但し、免疫系には関係するものを、と思いタイトルのような報告を選びました。少し古いですが、2020年12月のNEJMから。
膠原病や血液内科、移植外科では当然のように使用されている抗体薬ですが、循環器疾患ではまだあまり馴染みのない治療方法です。
今回の報告では再発性心膜炎を扱っています。内容としては、再発性心膜炎にIL-1阻害薬(rilonaceptリロナセプト)を投与するフェーズIII試験(RHAPSODY)の報告です。この研究では12歳以上で既存治療中に少なくとも2回の再発を起こした心膜炎患者を対象に、12週間のrun-in period(慣らし期間?)を設けて、既存治療を減量し、徐々にリロナセプトを使用するようにデザインされています。基準を満たした86名の内、61名がランダム割り付けされ、週1回の皮下注射を継続。再発率はプラセボ群が74%であったのに対して、リロナセプト群が7%でした。
【IL-1標的薬一覧】
・受容体そのものを阻害:IL-1受容体拮抗薬 アナキンラ
・IL-1直接阻害:可溶性受容体製剤(IL-1α/β trap) リロナセプト
・IL-1直接阻害:中和モノクローナル抗IL-1β抗体 カナキヌマブ
抗体薬の威力が分かるとてもいい結果が出ています。また、週に1回皮下注という投与方法もいいですね。非特異的な作用(副作用)もあるため、万能とは思いませんが、これからも抗体医療は進んでいくと思います。
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