今週のJC: Exercise generates immune cells in bone
昨日2度目の緊急事態宣言が出ました。政府から一部の地域で『動くな!』と言われてしまった状態。実験医学的には、動かない(≒運動しない)ことが感染症には良くない対策かもしれない...。そんなことを示唆する今週のJCは運動と免疫の関係です。
この論文は2021年2月のNatureにBo Shenらから報告された研究結果をまとめたもの。
前提として骨髄には多くの肝細胞や前駆細胞が存在しており、その細胞同士が隣り合い、相互関係を持つことで特別な環境(niches)を作り出している。例えば、骨髄内の間葉系前駆細胞はサイトカインの一種であるSCF(stem cell factor:幹細胞因子)を作り出し、その刺激によってリンパ球の前駆細胞(CLP)が免疫機能をもつ様々なリンパ球の元となる細胞に分化していく。この研究結果で重要なことは、間葉系前駆細胞の中でもオステオレクチン(Oln)という細胞表面マーカーを持った前駆細胞が運動刺激などによって活性化する『Plezo1』という細胞表面蛋白をもっており、その蛋白を刺激することでSCFが増加し、免疫細胞を誘導できた、と。ざっくり言えば、運動すれば感染症に対応しやすくなる、ということである。
手前味噌ではあるが、2015年にモデルは異なるがこの実験結果に似た動物実験を小生も行った…。Shenらの論文ではrunning wheel(自発的運動)で小生のはtreadmill(強制運動)という違いはあるが、運動によって免疫細胞や免疫機能が変わることが骨髄レベルで判明したのは大変興味深いことである。
今でも調べればこの結果にアンチな結果『過度な運動負荷は体に良くない・免疫機能を落とす』などといった報告も散見される。ただ、運動も食事も何でも『程々』。健康を考える時にはこれが一番だと思う。
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