今週のJC:ACVIM consensus statement guidelines for the diagnosis, classification, treatment, ...
今回JCを初めて担当させていただきます。新1年の井口と申します。今回のJCは自分が獣医師であるため、獣医学関連の論文紹介になります。
今回は、犬の肺高血圧症に関する論文を紹介致します。人と同様犬にも肺高血圧症が発症する場合があります。2020年のこの論文では人と同様に原因や機序により肺高血圧を分類しています。それまであまり獣医領域では肺高血圧症の分類に関して詳しいものはなかったと記憶しています。第1群〜第4群までの分類は人の分類と同じ表記になっておりますが、人と違うのが第5群の寄生虫病による肺高血圧が存在するというところになります。犬ではdirofilaria immitis、いわゆるフィラリア寄生による肺高血圧症が有名で、一昔前はかなりの頭数がフィラリア症で苦しんだのではないかと思います。病態としてはフィラリアの虫体が肺動脈に寄生し、虫体やその死体が肺動脈の抹消に閉塞し肺高血圧を起こすので、機序としては第4群に近いイメージなのかと自分は考えています。
今回の論文では実際にはあまり実施されていないPAWPの測定について触れられていたり、治療も原因療法については言及が少なく、あまり実用的でない内容も含まれています。犬の肺高血圧はまだまだ分かっていないことも多く、今後原因や治療などが研究され、肺高血圧に苦しむ犬達により良い治療ができることが望まれています。
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