今週のJC:Five-Year Outcomes for Refractory B-Cell Lymphomas with CAR T-Cell Therapy
4月1日、新年度を無事に迎えることができました。大学院生も2名新たに入りました(井口和人先生と太田浩雄先生)。新たな体制で進んでいこうと思います。このJCも週1回更新していきます。
今回のJCは少しずつ注目されて始めているCART療法の紹介とその5年生存率に関してです。我々の免疫は細菌やウイルスに対してそれを排除するように機能しますが、通常の免疫機能では完全に排除死滅させることができない難治性のがんに対する治療法として開発されました。患者さんのT細胞を取り出し、CAR(Chimeric antigen receptor:キメラ抗原受容体)とよばれる蛋白を作り出せるようにT細胞の中に特定の抗原を遺伝子導入します。特定の抗原として、CD19やCD20などのB細胞の表面に発現するマーカーをもったT細胞ができることになります。
今回のJC(NEJM2021年2月18日)では、Bリンパ腫に対する4-1BB共刺激下のCART療法の5年成績を報告しています。期間全体では寛解が46%、部分寛解12%であり、5年生存率は31%でした。まだ、そこまで良い結果、とは言えないと思いますが、新しい治療法として確立される日は近いのだと思います。また、今回の報告では投与前のリンパ球除去を行っても、通常の免疫機能は戻ってきた、と書いてあります。新たな細胞が導入されても、もともとの免疫機能は元に戻る、という結果は何かと不安が多い新しい治療法に対して安心材料になると思います。CD19に限らず、ほぼすべての表面マーカーがこのCART療法の対象になっていますが、CD19とCD20がそのトップを走っています。一説にはこれら以外はうまくいっていないとか...
詳細は是非Hpへ。
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