今週のJC:Cardiac Macrophages — Keeping the Engine Running Clean
コロナワクチンが接種され始めて約1か月程度が経ち、徐々にまた色々なことが分かってきた今日この頃。今週のJCはそのワクチンの作用機序にも関与するマクロファージに関してのお話です。
私が専門とする心臓血管外科のメイン臓器である心臓は車で言うエンジンそのものです。車であれば、エンジンが動けば動くほど小さなカスが溜まり、一定期間一定距離走ると滑らかに動かなくなります。それを避けるために、一旦エンジンを止めエンジンオイルやエレメントなどを定期的に交換します。一方、心臓には止まる時間はありません。心臓にできた小さなカスを拍動中でも取り除く機能をしてくれる細胞が存在します。それが(心臓)マクロファージです。ここでいうカスというのは、ミトコンドリア(エネルギー生産施設)なのですが、使い古されたミトコンドリアがフォスファチジルセリンというリン脂質が目印としてついている袋exopherに入れられ心筋細胞から放出されたあと、そのフォスファチジルセリンを目印にマクロファージがそれを取り込むことで常に心筋細胞はきれいな状態を保てる、という機序です。逆に、そのフォスファチジルセリンを取り込めないマクロファージ、細かく言うとMyeloidepithelial-reproductive tyrosine receptor (MerTK receptor) を持たないマクロファージは心筋細胞を掃除することができません。
肝臓や皮膚にはマクロファージが名を変え、常に存在していますが、心臓にもそのような役割をするマクロファージがいたのです。今のところ、ぞれが心臓に特異的かどうかはまだ不明ですが。
腫瘍免疫にも移植免疫にもワクチン作用にも重要な役割を持つマクロファージ。今後も目が離せません。
0コメント