今週のJC:A canine chimeric monoclonal antibody targeting PD-L1 and its clinical efficacy in canine oral

先日勤務している動物病院で悪性腫瘍ができてしまった犬の診察を行いました。その子は腫瘍専門の先生がいる病院に転院し手術を行いましたが、手術ができない状態の子や飼い主さんが手術を望まないため手術を行わない子も多くいます。ヒトでは切除不能な特定の癌に対して、オプジーボなどの免疫チェック阻害薬による治療が行われ始めていますが、犬では免疫チェック阻害薬の研究はほとんど行われていません。そこで今日紹介するのは口腔内悪性黒色腫もしくは未分化肉腫を発症した犬に抗PD-L1抗体を投薬した研究です。口腔内悪性黒色腫7例、未分化肉腫2例の犬に抗PD-L1抗体を投与したところ、悪性黒色腫1例、未分化肉腫1例で腫瘍の退縮が見られました。さらに肺転移の見られた口腔内悪性黒色腫の犬に抗PD-L1抗体を投与したところ生存期間が延びたとのことです。2018年に本庶先生がノーベル賞を受賞したことで注目を集めている免疫チェック阻害薬。犬での研究が進み、新たな治療法の選択肢として使用されることを期待しています。

帝京大学医学部 移植免疫・腫瘍免疫研究室

夢と希望をもって誰でも(出身・経歴を問わず)斬新な研究ができるよう、この研究室の俗称を“どらえもんラボ”と名付けました。実験をしたい、そして新しいことを発見したいという夢がありながら、なかなかその場が見つからない、そのような方は是非“どらえもんラボ”にお立ち寄りください。そして、実験や討論を一緒にやりましょう。

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