今週のJC:Danasol induces prolonged survival of fully allogeneic cardiac grafts and maintains the …

今回のJCは、Danasol induces prolonged survival of fully allogeneic cardiac grafts and maintains the generation of regulatory CD4+cells in miceという、ダナゾールと移植免疫に関する論文です。

ダナゾールはテストステロン誘導体で、子宮内膜症や関節リウマチ、SLEなどの自己免疫疾患の治療として使用されるお薬です。本研究ではこの薬を使用し、用量依存的にMHC完全不一致の心移植片生存期間を延長させました。今回の研究で興味深かったのは、ダナゾールの免疫に対する多様な作用です。

制御性細胞の誘導を誘導することで免疫抑制をかけるだけでなく、IL-10を誘導することで移植片における炎症細胞浸潤を抑制し、心筋障害の最小限に抑えています。IL-10は抗炎症サイトカインで、Th1細胞からのIFN-γ産生を抑制したり、マクロファージからのIL-1、IL-6、TNF-2の産生を抑制します。この作用により、ダナゾールはIL-10を誘導することで間接的に免疫を制御していると言えます。

更にテストステロンの作用によっても、リンパ球の働きやIL-1、TNFなどの炎症性サイトカインの働きを抑制しています。

一つの薬剤が多様性を持って直接的、間接的に免疫に働きかけており、改めて免疫の複雑さと面白さを実感した論文でした。

今後も移植免疫に役立つ研究を様々な行っていきたいと思います。



帝京大学医学部 移植免疫・腫瘍免疫研究室

夢と希望をもって誰でも(出身・経歴を問わず)斬新な研究ができるよう、この研究室の俗称を“どらえもんラボ”と名付けました。実験をしたい、そして新しいことを発見したいという夢がありながら、なかなかその場が見つからない、そのような方は是非“どらえもんラボ”にお立ち寄りください。そして、実験や討論を一緒にやりましょう。

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