今週のJC:SARS-CoV-2 B.1.617.2 Delta variant replication and immune evasion

最近コロナウイルス関連が多くなっておりますが、時勢のためご容赦ください。今回はDelta株はなぜ他の株より広がって、ワクチンの予防効果が低いなどと噂されているのか、というところに一つ答えを出してくれていました。前置きとしてこの論文はインドでの話です。

まずはDelta株はワクチンが認識させるスパイクタンパクの一部が分割された状態で存在しており、高い細胞融合性を持っていることが挙げられていました。またウイルスの複製率がこれまでの株より高いとされていました。そして昨日ワクチンを摂取した自分としては、Delta株のワクチンブレイクスルーが気になっておりましたが、今回の実験では中和抗体の感受性が某会社の製品では(これが重要なのかなとも思いました)、非Delta株と比較して有意に低下するとしていました。もう1社の製品に関してが本文中であまり触れられてなかったですが、感受性低下の割合はグラフを見る限り低いように感じました。有意差ありとなっていましたが...よって今回の論文ではDelta変異株は非常に感染力が高く複製する力も強いため、他の株から急速に置き換わりほとんどがDelta株で占められるような状況になった。またワクチンのブレイクスルーが他の株より起きやすいということがよくわかりました。しかし今回の実験はワクチンの効果を否定するものではなく、Delta株は特殊でブレイクスルーすることはあるが、一定の効果は認められDelta株にもある程度中和抗体が効果があるというポジティブなデータと考えることにします。某社製品が売れなくなりそうです。

帝京大学医学部 移植免疫・腫瘍免疫研究室

夢と希望をもって誰でも(出身・経歴を問わず)斬新な研究ができるよう、この研究室の俗称を“どらえもんラボ”と名付けました。実験をしたい、そして新しいことを発見したいという夢がありながら、なかなかその場が見つからない、そのような方は是非“どらえもんラボ”にお立ち寄りください。そして、実験や討論を一緒にやりましょう。

0コメント

  • 1000 / 1000